院長紹介

 
人物風土記
  タウンニュース高津区版平成13年11月2日号より
墨の線に思い託して・・・

○…今年六月に創作千字文『音のない音楽』を出版。
現在は書芸毛筆・篆刻士として鳳書藝院院長を務め
ている。千字文とは、中国・後漢の末期に起源を持つ
もので、一字も同じ文字を用いずに作られた千字の
文章。「書歴五十余年の集大成であり、出発点。思い
を線に託しました」と、出版のいきさつを語る。

また、興味をひく本のタイトルについては、「音楽は、
そのリズムや流れ、起伏が人の感情を喚起する芸術。
書も、線を読み取っていくうちに情緒に訴えてくると
いう点で同じですから」と語る。書道は芸術――、改め
てそう認識させられる言葉だ。  



○…書道との出会いは五歳の時。家の近所にある書道
教室に通い始めたのがきっかけだ。「真っ白な紙を墨
で汚すのが面白くて」のめりこんでいったという。
また、「自分はそれほど理路整然と話のできるタチでも
ない。思いを表現するには、書が最適だった」とも。

早期から自己表現の手段を見つけると、その後は旺盛な
創作活動を展開、着実に書の道を上りつめ、若干二十
四歳にして成家の称号を得るに至る。


○…溝口の老舗タンス店の生まれということもあり、地元
での活動も盛んだ。二年前には大山街道沿いの店先に、
それぞれの歴史を解説する口上文を書き、立て札にした。

「この町は民家一つににも歴史がある。今後はそんなこと
も紹介していきたいですね」といい、昨今の同街道の移ろ
いについては「伝統あるものが少なくなってゆくのは寂し
いね」とぽつり。
「人との関わりの中で、書の幅も広がってゆく」と語る本人
にとって、地元への思いはひとしおのようだ。


○…最後に壁に掛けられた一枚の書を見せてくれた。そこ
には“書とは理想や希望を表現する行為であり、同時に我
欲や欠点を表出する鏡である。”との一節が。
書で自己を表現し続けてきてこその“書道観”が白い紙の
上に力強く描かれていた。

 
 
Home

鳳書藝院
TEL:044-822-4316 FAX:044-822-2761 
Email:ootori@a08.itscom.net